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アイリッシュの多いシカゴでの巻 その2

ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム (DVD付 初回限定盤) 前回はアイリッシュのヨーロッパでの歴史について書いてみたが、今回は彼らの最大の移民先である新大陸アメリカ合衆国に与えてきた影響力について書いてみたいと思う。 
 アラン・パーカー監督の「ザ・コミットメンツ」の中の台詞に登場するように、「アイリッシュは、ヨーロッパの黒人」とまでいわれながらも、新大陸では大陸横断鉄道の西側を中華系の人々が地と汗で完成させたのと同じように、持ち前の努力と真面目さで東側を完成させる労働力として、その後は警察官消防士のような人が避ける危険な任務につきながら地位を高めてきた 
 現在のアメリカではアイリッシュが最大のエスニック・グループとなっており、ケネディのようにアイリッシュかつカソリックでありながらも、大統領にまで登りつめる人物まで輩出している。 また音楽にも才能を示す彼らは、ケルティッシュ・ミュージックを基に新大陸でカントリーブルーグラスを生みだし、そこから黒人のブルースと融合した結果ロックを生んでいる。
 アメリカのドル紙幣にある「IN GOD WE TRUST」が、「GODS」ではなく 「GOD」であるのを見るまでもなく、一方では思想の自由を詠いながらも、この国はキリスト教、なかでもプロテスタントの教えを中心に現在でも成立している。 ちなみにキリスト教徒以外では未だに大統領は出ておらず、プロテスタント以外の歴代大統領は前述のケネディを除いていない。 このような国に最大のエスニックグループとして存在する、彼らアイリッシュのカソリック達が及ぼす精神的インパクトは、今回の大統領選でも話題になった中絶問題や同性愛問題をはじめ計り知れないものがある。 (ブッシュのプロテスタントに対して、ケリーはカソリックであった。)
 しかしながらこれだけの活躍を見せるアイリッシュ系ではありながら、まだまだいわいるアメリカ白人であるアングロ・サクソンやゲルマン、ならびにプロテスタント系の人達からの偏見も根強く残っており、例えば「アイリッシュ・トラベラーズ(アイリッシュ・ジプシーズ、アイリッシュ・ティンカーズ)」と呼ばれる人達へ向けられる目がある。 
 アメリカ南部に約10万人存在するといわれる彼らは、半ばジプシーのような生活を送り、定職に付かずに様々な土地で短期肉体労働者として働き、ケルトからくるゲール語訛りのシェルタという言葉を話し、大家族で同一の名を共有しながら、敬虔なカソリック教徒として生活している。 そのアイリッシュ・トラベラーズに対しては、詐欺団との噂がいまでも常につきまとう。
 司馬遼太郎の言葉に、「アイルランド人は、客観的には百敗の民である」というのがある。 確かに近世に入ってからのアングロ・サクソン(米英)の強さには向かうところ敵なしの感があり、これだけの強敵を常に隣人としてきた彼らの悲哀は想像を絶するものがあるが、それでもしたたかに存在感を発揮してきた彼らには惹かれるものがある。
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