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ロベール・ドアノーの市庁舎前のキスの巻

kiss-doisneau.jpg 大好きなドアノーの写真が、約2100万円もの高値で落札された。 いくら有名な作品だとはいえ、これは写真の落札額としては破格だといってよい。  

 ロベール・ドアノー(1912-1994)はパリ郊外に生まれ、同じくパリの写真家として知られるブラッサイの写真に影響を受け、生涯パリを出ることがなかったといわれるほどのパリを代表する写真家として戦中・戦後を通して活動を続けた。  また第2次世界大戦時には石版彫刻師として、ユダヤ人の為に偽造パスポートなどを作成しながらレジスタンスの一員として戦う。 ここも参考に

 彼の撮影方法は釣りに通じるものがあり、獲物(被写体)が現れるまではいつまでも街角に立ち続けたという。 そんな彼の写真が大好きな自分は、彼が愛用したローライのカメラを持って、同じように街角で写真撮影を続けたこともある。 その当時は友人から、「そんなに中判フィルムでバシバシ撮影してよく小遣いが続くね」などと訊ねられたことも度々あったが、実は現在のデジカメの進化に合わせてカメラを買い替え、レンズを買い替え、メモリーその他の周辺機器を買い替えといった無駄な出費が無い分、画質は現在の最新デジカメよりも数段上にも関わらずに、むしろ安上がりだったくらいだ。 しかもフィルム現像から、写真のプリントまで自家製だったし、海外から取り寄せた中古カメラを使用した後で、日本国内の中古カメラ市場へ売り飛ばせば、なんとフィルム代などは払ってもオマケがでるほどですらあった。

 写真というものはある人に言わせると芸術だし、ある人に言わせるとただの・・・というわけで、まるでカーレースのF1が、スポーツかそうでないかというのと同じように、機械というものに大きく依存しているが故に何かと議論を呼ぶことも多い。 ただ自分に言わせると、写真だって撮り手によって大きく表現に差が生まれるれっきとした芸術なのである。

 ところが日本では、有名雑誌ですらカメラメーカーの新製品の販売促進媒体かのような内容で、それを読んでどんどん物欲を膨らませたアマチュア・カメラマンが、あのレンズの描写がとか、周辺光量落ちがどうのとか、デジカメのホワイトバランスがどうのとか、果てはシャッターの音質がとかなんとかと、まるでそこらいじゅうにメーカーの回し者か作例写真家志望者が溢れ返っているかのような状況である。 もちろん自分もお金が無かった頃に、ウェディング・フォトグラファーや、スタジオ・フォトグラファーをして小銭を稼いでいたこともあるが、語弊を覚悟の上で言えば、元来そういったくだらないことには一切興味がない。(どのタイプのフォトグラファーかじゃあなくて、シャッターの音質がとかいったことに対して。)

 ちなみに日本の某有名写真雑誌のように、入選作品にはどのレンズで、フィルムで、カメラでと提示することが義務付けなれているような感覚で、欧米の美術館で撮影者や作品管理者にその類の質問などしようものなら、次回からはまともに相手してもらえなくなること請け合いである。 そんなことよりも作品がどうかということの方が、当然大事なのだから。

 もしデジカメや新製品の波状攻撃に、財布の中身が風前の灯火の方々がいれば、一度ドアノーの写真集をじっくりと見て欲しい。 そうすれば今回の記事に掲載した写真を、画質がどうとか、その他云々といったことで見なかったであろうのと同じように、人間の生きる姿をユニークな視点で切り取った彼の作品から、写真の表現力についての新たな興味を持ってもらえると思う。
 
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Robert DOISNEAU
LE BAISER DE L'H・EL DE VILLE , 1950
C ROBERT DOISNEAU/RAPHO/PPS

*姉妹ブログ
TukTuk Race... ~アジアな時間~外人ガールサバイバル日記 in Japan

【パリ26日共同】フランスの写真家、故ロベール・ドワノー氏が1950年にパリの街角で撮影した「市役所前のキス」の署名入りオリジナル写真が25日、パリの競売会社アールキュリアルで競売に掛けられ、予想価格の約10倍の15万5000ユーロ(約2100万円)で落札された。
 米写真誌ライフから「パリの恋人たちのルポ」の依頼を受けたドワノー氏が、街角で通行人を無視してキスするカップルを撮影。日常風景を絶妙にとらえたスナップとして話題を呼んだ。
 ドワノー氏は後に、若いカップルがキスするのを見つけて、2人にあらためてポーズを頼んで撮影したことを証言した。
 写真は30年以上写真代理店の倉庫に眠った後、86年にポスターとして売り出され、世界中で40万枚以上売れ有名になった。
(共同通信) - 4月26日12時7分更

ロベール・ドアノー
ジャン=クロード・ゴートラン

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生き生きしてます
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コメント (22)

招き猫:

 トラックバックありがとうございます。ずいぶん前に書いた記事にTBがついたのでびっくりしました。さらに、ユキノヒノシマウマさんの記事を読んで、ドアノーの作品が2100万円で落札されたことを知り、2度目のびっくりです。

 マミヤ7Ⅱに広角レンズ1本つけて、ブラブラ歩きしていたころを思い出しました。今度の連休に久々に引っ張り出してみようと思います。待てよ、20本ほど撮り貯めた未現像の黒白フィルムも現像しなきゃ。

はじめまして。TB感謝いたします。
ワタシもこのポスターを買った40万人のうちの一人です。
今朝ニュースで落札の件を知り、また新鮮な気持ちになってます。
雰囲気のある〜いい写真〜を撮ってみたいものです(^^;)
ありがとうございました。

やっぱり日本人てモノ狂いなんでしょうね。
まあ、赤瀬川さんではありませんが
中古カメラ市にあまたの人が押し寄せるのですから。
海外に行けば写真狂いはけっこういますけども、
カメラ狂いはかなり希少ではないでしょうか。
さて、ドアノーの暮らしぶりというのは
最近知ったので、それまでは郊外の写真をたくさん
撮っていることも知らなかったし、市役所前のキス
のイメージばかりが先行していましたが、
なかなか骨がある人のようで、ちょっとうれしくなります。
TBありがとうございました。

初めまして。
TBありがとうございました。

随分、昔の記事にTBをしていただき、危なく見逃すところではありました。

本文に書かれていること、もっともでございます。
ワタクシめも、時に物欲に目が眩み、新たなものめずらしい「画角」なんぞを求めて色々レンズを買い漁ったりもしましたが、結局は50mmなどといった極々ありふれた焦点距離が「やっぱり一番使い易いや!」と思っている昨今ではございます。

そして・・・やはり写真は機材でも何でもなく、「結果が全て」だと思っております。
(もちろん偉そうなことを書ける分際ではございませんが・・・)

今後ともよろしくお願い申し上げます。

TBありがとうございました。
「市役所前のキス」が2,100万円ですか。
すごい価格ですね。
ケルテスやアダムスも相当高額で取引されているようですが、改めてこのような値段を聞くと驚きますね。

ただ一方で、写真に対してこのような価値を見出す方がいる(そうではないのかもしれないけど)なんて、嬉しい限りです。

自分も、2,100万円とまでいかずとも、せめてその1/100ぐらいの値段で売れるような作品を残したいです(^^;

ところで「市役所前のキス」は演出だったんですね。
知りませんでした。
勉強になりました。

TBありがとうございます。こちらもTBしました。(内容はあんまり関係ないですけど(^^ゞ)
落札のニュースは何となく耳にしました。興味深い記事ありがとうございます。

招き猫さんへ

 マミヤ7Ⅱに広角レンズ! 
そうそうあのカメラは、中判でもお散歩カメラとして大活躍できるサイズと機能性ですよね。
自分もかなり使いましたよ。(笑)

  arod13さんへ

 私はこのポスターを買った40万人の中の2人目です。(笑)
彼の写真って、いつ見ても心を和ませてくれるものがあります。
人間観察のプロですね。

  artshoreさんへ

 そうなのですよ、彼は写真家としてだけではなく、レジスタンスの一員でもあったのです。
まあ赤瀬川さんや長徳さんのようにカメラ狂いも良いですが、写真はやっぱり作品が命ですからね。

  n@kkyさんへ

 そうなんですよ、結局名作と呼ばれる作品のほとんどは50mmか35mmになっちゃうんですよね。 

 それから日本人も恥ずかしがらずに、もっともっと作品について語ってよいと思うのです。 
機材やレンズ自慢はするのに、作品に関するとだんまりって人も多いですが、写真は撮ってなんぼですから。

  K-FUNKさんへ

 彼の作品は、意外に演出が多いことでも知られていますよね。
ただその辺にこだわりだすと、キャパだってアーウィットだってと切がないですけど・・・。

*何枚でもプリントできるだけに、写真の価値って難しいですよね。

  Yuseumさんへ

 TBありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

トラックバックありがとうございました。
先日、当時この写真のモデルだったという女性をニュースで見かけたところでした。すっかりおばあちゃまになっておられましたが、素敵な感じの方でした。

 まびパリさんへ

 自分もそのおばあちゃんの写真を見て、あの有名な写真の方がこんな素敵な年の取り方をされてたんだなあって、ちょっとうれしくなったことがありました。

TBありがとうございます…しかしまるで関係ない私のブログがトラックバックされていたのは何故だろうw こういう謎のつながりがあるのがブログの世界の面白いところなのかも知れませんが。

写真はむかし少し足を突っ込みましたが…現像に使う氷酢酸の匂いを思い出しますね。足を突っ込んだといっても天体写真だったのでちょいと被写体が違ってしまいますが(汗。しかし写真1枚が云千万で取引される世界があったことに驚きです。

 いろ考さんへ

 ブログはどんどん横へ広がっていけるのが楽しいですね。
こんなシステムを開発したミナは凄い!!

 天体写真は手を出したことがないのですが、それを本などで見るのは大好きでした。
そういえばシカゴでは星が全然見えません・・・。

遅くなりましたが、TBありがとうございました。
ドアノーについていろいろ勉強になりました。
GW中に、彼の作品展を展開している京都の美術館へ行ってみようと思います。
楽しみです。

  ルキノさんへ

 写真でもやっぱり実物を見るのと、印刷物を見るのでは、トーンの感じなんかを含めて全然違いますもんね。
ぜひエンジョイしてきて下さい!

ラン:

こんにちは。
「市役所前のキス」落札のニュースからはだいぶ時間がたっていますが、この秋、静岡で「ドアノー展」か開催されることを知ったので今更ですが、TBしました。以前このブログをみて「見てみたいなぁ・・・」と思っていましたので。
もちろん「市役所前のキス」もオリジナルプリントで展示されます。そのほかにも120点くらい展示されるそうですが、写真集やポスターでは味わえない感動が得られることを期待しつつ必ず行こうと思っています。ドアノーの写真がそんなにまとまって見れることってないですよね!? 

  ランさんへ

 ドアノーは人柄が出るような写真ばかりで、自分も大好きです。
写真集やポスターでは、オリジナルプリントの諧調や細かいディティールは決して伝わらないので、そういう機会に揃って目に出来るのは素晴らしいですね。

sally:

はじめまして。ロベール ドワノーって?と検索していて、ここにまいりました。実は、高校の国語の非常勤講師をしておりまして、教材研究で、インクだらけで勉強する小学生の写真集というのがあるという文章にぶちあたり、誰?何?と探していて、あぁこの写真見たことあるぞ。と少しほっとしました。生徒には、まずこれを紹介してから、なんとかして、これから、その小学生の写真集なるものを探そうと思っています。ありがとうございました。

sushi:

sallyさんへ

 写真見つかるといいですね。
また遊びに来てください。

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2005年04月27日 04:17に投稿されたエントリーのページです。

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