アメリカンゴシックと中西部の巻

american-gothic.jpg 以前に紹介したシカゴ観光の目玉とも言えるシカゴ美術館(アート・インスティチュート・オブ・シカゴ)には、アメリカンゴシックという有名な絵がある。 
 1930年にグラント・ウッドの描いたこの絵は、アメリカ人の象徴として引き合いに出されることも多い。 そしてこの絵が醸し出すインプレッションこそが、別名アメリカの故郷:ハートランドと呼ばれる中西部に暮らす人々と、全てのアメリカ人が心の奥底で秘めているアメリカ中心的で、全米選手権=ワールドシリーズ的な心情を見事に教えてくれると言ってもよい。
 シカゴのある中西部という地域は、いうまでもなく地理的にはアメリカ大陸の中心部に位置している。 そしてこの地域で話される中西部英語は、全米のTVや学校教育で使用する教科書の中で、ジェネラル・アメリカン(標準語)となっている。 
 実際に閉鎖的で伝統的な北東部や、商業主義的で実力主義の東部、大時代的で貴族社会的な南部、ラテンの色濃く荒野の広がる南西部、険しい自然と対峙するロッキー山脈部、人種も思想も宗教も雑種雑多の西部などと比べれば、中西部こそはアメリカ人が思い描く、アメリカらしいアメリカがある土地だといえるかもしれない。
 自分もまだアメリカの地を踏む前は、夜な夜なパーティを繰り広げるビーチボーイズや、巨額の資金を一瞬にして操るやり手ビジネスマンといったイメージをこの国に対して持っていた。 しかしあくまでそんなものはアメリカという国の一部の中の一部であって、むしろ日本人を含めた外国人のそれほど踏み込むことのない、何世代も続くアメリカ人だけが住む広大な土地というものは、この中西部へやってきてはじめて知ったような気がする。
 果てしなく続くとうもろこし畑と、数え切れないほどの家畜が草を食む牧草地の間に転々と表れる、どこを訪れても同じような景色をした小さな町。 中心部には必ずといってよいほど、セントラルアベニューとか、メインストリートとかいった名の小さな通りがあり、そこには日本で言うところの「しのぶ~と呼ばれたの~♪」的な飲み屋が数件と、埃をかぶった賞味期限も怪し気な商品が並ぶ小さなグロッサリーストアー、そして町の絆ともいえる教会がある。 
 寡黙と、勤勉と、協調と、親切と、継続を愛する彼らが住むのは、中心部から少し離れた畑の中の、ここにも人の営みがあるのだよと誇示するかのような、こんもりとした木が数本植わった家と、赤塗りのサイロ。 こういった光景が、気の遠くなるようなスケールで延々と広がっているのだ。
 渡米前にハリウッド映画で刷り込まれたアメリカのど派手なイメージから、5年の米国暮らしを経て今は、地味ではあるがアメリカのハートランドはやはりここだよなという気持ちに変わった。 
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6 Comments

  1. 返信
    ういんちる 05/06/2005

    私は初めてのアメリカ、3年ほど住んだL.A.がアメリカなんですよねー。 水着のまま買い物をしたり、ローラブレードで移動したり、町には椰子の木が溢れ、日本人がイメージしているアメリカが、そのまま西海岸にありましたもん。 中西部は美しいなあ~と思います。特にこの季節は、本当に美しいね。

  2. 返信
    H.O 05/06/2005

    こんばんは、夕べは友達と飲みすぎました。そして夜中に目が覚めてアメリカのお話を拝見しています(^^;
    僕はカナダ暮らしが6年で、アメリカではないのですが。今回のお話がとても身近に感じました。
    イメージと実生活のギャップや心境の変化などなど、共感してしまいます。
    怪しい商品のグロッサリーや「しのぶ~♪・・」のお話もいい表現ですね(笑)

  3. 返信
    馬馬虎虎 05/06/2005

    こんにちわ。
    只今、シンシナティ出張の途中に、シカゴに来ています。
    情報を探していたら、偶然こちらのHPに行き着きました。
    楽しく拝見させて戴きました。ご夫婦で滞在中なんですね。
    いいですね。私もイギリスに永く居た時、一人ぼっちで
    あんまり同僚にも遊んで貰えなかったので、淋しかったです。
    昨日はシカゴ建築財団のツアーで、フランク・ロイド・ライト
    の手がけた家を見に、オークパークまで行って参りました。
    ライトがあまり好きでなかったのですが、すごく良かったので、思わず印象を改めてしまいました。
    今日も市内の建築をバスで回るツアーと船から見るツアーに
    参加予定です。夜はローリーズでプライムリブでも
    食べようかな、と思っています。もっと早くこちらのHPを
    知っていたら、遊んで貰えたのに(?)と残念です。
    明日シンシナティに向かう予定です。では!

  4. 返信
    sushi 07/06/2005

      ういんちるさんへ
     自分も日本人が思い描くアメリカの風景というものは、もう絶対にカリフォルニアだと思いますね。 
    まあ、あとNYCというのもありますが・・・。
     それ以外の地域へ行くと、ぱったり日本人の姿を見なくなるところも、さすがはあめりかでっかい国だと思わされます。

  5. 返信
    sushi 07/06/2005

      H.Oさんへ
     一緒に飲み過ぎれる友達がいるというのは、幸せなことです。(笑)
     そうなんですよね。
    実際に海外生活が身についてくると、というか海外が生活の拠点という感じになってくると、それまでに想像していた異国の顔とは、また違った面も見えてくるようになりますよね。
    この辺りに気づくところは、さすがは6年もカナダに住んでおられるだけのことはあります。

  6. 返信
    sushi 07/06/2005

     馬馬虎虎さんへ
     オークパークは自分も大好きな町です。
    シカゴのダウンタウンからからすぐ近くなのに、もうガラッと雰囲気が変わりますもんね。
     次回シカゴへ来られるご予定があれば、ぜひご連絡ください。

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