ユニティ・テンプルと日本建築の巻

temple.jpg シカゴ郊外にあるオークパークという落ち着いた雰囲気の町のことは、以前にもこのブログで何度か紹介した。 そしてなんといってもオークパークといえば、そこで第一次黄金期を築いたフランク・ロイド・ライトである。 今回はそのオークパークの町に今も現存する、ライトが手がけたものとしては世界で唯一の公共建築物であるユニティ・テンプルを紹介する。 
 オリジナルのユニティ・テンプルは、通常のクリスチャンが信ずるトリニティ(父と子と精霊と)の三位一体説とは信奉を異にする、父である神のみに神聖を認めるユニテリアンの教会としてオークパークに建っていたのだが、1905年の落雷で消失したために、母方祖父がユニテリアン指導者であり、父がユニテリアン牧師であり、また本人自身も1892年以来の教会メンバーであったライトに白羽の矢があたった。
 このユニティ・テンプル設計に当たってライトは日本の建築物を大いに参考にしたといわれ、現在ではこのユニティ・テンプルと日光東照宮の拝殿と本殿の平面図との相似が指摘されており、それについてのドキュメンタリー映画なども先日シカゴでは公開されていた。 しかしながら本人自身は、最後まで日本建築からの影響については固く首を縦に振らず、あくまで独自のデザイン理念によるものだという意思表示を示し続けたという。
 本人の意思表示は別にして、なぜこのユニティ・テンプルが日本建築の影響を受けたのかということであるが、礼拝堂と集会場というまったく使用目的の違う2つの部屋を、渡り廊下で繋ぎ、その間に玄関を位置させるというライト創案によるとされる「複核プラン」の完成をみる前年にライトは日本を訪れており、その手法はまさに日本建築の特徴のひとつであるということからそう推測されている。
 彼が日本建築に傾倒するきっかけになったのは、1893年のシカゴ万博時に出展されていた日本館鳳凰殿でこの手法を目のあたりにしてからといわれ、1905年の訪日時には同じ手法が見受けられる日光東照宮見学も果たしている。 後の彼の自著によると日本建築について、「最高の排除の習作である」と語っており、弟子にも日本建築を学ばせていたことがよく知られている。
 ちなみにこの教会がチャーチと呼ばれずに、テンプルと呼ばれるいわれだが、ユニテリアンの教えにのっとってキリストの神聖を否定し、礼拝の対象を神のみに限る古代神殿にあやかり、神殿を意味するテンプルと名乗ることになった。 また上記と同じ理由で、このテンプルにはキリストの象徴である十字架が建物のどこにも見当たらない。
 夏目漱石や高岡子規らと同じ歳のこの偉大な建築家であるフランク・ロイド・ライトは、最後のアメリカ人とも称され愛されており、サイモン&ガーファンクルのBridge Over Troubled Water(1970)に収録されているSo Long,Frank Lloyd Wrightにも皮肉を込めて彼のことが歌われている。 ライトの生まれた1867年のアメリカ人口は3800万人、亡くなった1959年は1億8000万人であり、彼はアメリカという国の成長と共に時代を生きた人でもあるのだ。
 
いつもクリックで応援してくれて本当にありがとうございます。banner_03.gif
*シカゴに関することなら、シカゴ総合情報サイトUS新聞ドットコム
Unity Temple Restoration Foundation
875 Lake Street, Oak Park, IL 60301
Hours:
Monday – Friday 10:30 to 4:30pm Self-guided tours and pre-arranged group tours
Saturday – Sunday 1:00 to 4:00pm Group tours at 1:00, 2:00, and 3:00 p.m.; self guided tours; pre-arranged group tours
Admission
Regular Admission $7.00
Discount Admission $5.00
Seniors 65 & over
Students 22 & under w/ID
Groups of 15+
Free Admission
Children 5 & under
Pre-arranged guided group tours are available by appointment for groups of 15 or more. Admission is $5.00 per person. Call 708-383-8873 for reservations and information on how UTRF can customize a tour for your group.

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9 Comments

  1. 返信
    oakpark 28/11/2005

    お邪魔します。ネームがネームなので懲りもせず書き込みさせていただきます(笑)  直球な質問です……寒いですか?シカゴ……。  私は春先から夏までのシカゴ滞在だったし日本では雪がめったに降らない県で生まれ育ったので本当の寒さを知りません。日本ではアメリカのクリスマス商戦が始まったとのニュースがありました、クリスマスのリバーノースはきっとキラキラしてるんだろうと勝手に思っています。 クリックして帰ります、失礼します。
    US新聞のコラム、楽しく拝見させていただいています。
      

  2. 返信
    H.O 29/11/2005

    僕は、詳しくないのですがライト氏のファンです。今日のお話もとても勉強になりました。(^^)
    どこかでsushiさんが撮られているシカゴやその他の光景をまとめて拝見できたらな~って思っています。(さりげなく催促(^^)
    今日の写真もとても良かったです(^^)

  3. 返信
    sushi 29/11/2005

    oakparkさんへ
     先週のシカゴは寒かったです・・・。
    日中でも氷点下だし、雪も舞ってました。
     ず~っと、サボリがちだったのにも関わらずoakparkさんのようにクリックで応援し続けてくれる人がいるのをみて、なんだか最近またちょっとは更新続ける気力が沸いてきました。
    シカゴ盛り上げ隊としてがんばりますよ!(笑)

  4. 返信
    sushi 29/11/2005

    H.Oさんへ
     ライトさんは日本とも関わりが深いだけに、シカゴという街をアピールするためにももっとみんなに知ってもらいたいと思っています。
     シカゴの光景についての写真オンリーページはまだ制作していないのですが、以前に暮らした街の写真ページはこちらの各セクション内にありますので、もしよかったらまた覗いてみてください。
    (http://wanderphoto.com/opencity/)

  5. 返信

    sushiさん、こんにちは。お邪魔します!フランク・ロイド・ライトの建築紹介良かったです。Googleでも彼の誕生日(没した日?)はロゴが彼の作品のモチーフになっていました。アメリカ人に愛されているわけですね!シカゴは猛烈に寒いですか?先週の東海岸も氷点下でしたが、昨日、今日はなぜだか60℃(華氏)あります。シカゴまた暖かくなったらいくぞー。(大好きです。)それまでユキノヒノシマウマ熟読します。

  6. 返信
    sushi 30/11/2005

      シネマガールさんへ
    >Googleでも彼の誕生日(没した日?)はロゴが彼の作品のモチーフになっていました。
    へえ~!そうだったんですね。
    知りませんでした。。。
    今日はまた寒さが戻ってきましたが、なぜだか昨日だけはミョーに暖かい気温でしたね。
    シカゴは本当によい街ですので、ぜひぜひ遊びに来てください!

  7. 返信
    H.O 30/11/2005

    sushiさん、こんにちは!
    紹介して頂いたページ実は、以前から知っていました(^^)
    とても素晴らしい写真とsushiさんの記載されている文章も素敵です。
    僕も色々な所、もっと見たいと思っていますがなかなか・・・(^^;
    でもあのように忠実に紹介して頂けるととても嬉しいです(^^)

  8. 返信
    sushi 02/12/2005

    H.Oさんへ
     ありがとうございます。
    いつも応援していただいて本当にうれしいです。
     HOさんの写真も最近毎日チェックさせていただいてるんですよ。
    あの淡いピントが、なんだかアナログな心情を表現しているようで素敵です。

  9. 返信

    カーネギーミュージアム(Carnegie Museum of Art)

    ちょっと遅くなっちゃいましたけど、先日の“ピッツバーグ 文化の旅”の続きです。
    11/26 土曜日 午後2:30、ピッツバーグ空港に降り立つと、

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