静かな森に響き渡るユンボの轟音の巻

yellowstone033.jpg イエローストーン国立公園内に入って制限速度が規制されたせいもあって、のんびりとした走行速度で進んでいた我々のドライブであったが、その速度をさらに緩める時速10マイル(16km)制限の表示。
 というのも、この静かなショションの森に大きな工作機械が何台も入って、そこいらじゅうを穿り返していたからなのだ。 長年の使用に渡って道路脇の崖が崩れかけそうになっている箇所の補修や、ちょっとした休憩所などを設けるためであろうかなり大きなスペースをとるためにさらに道幅を広げている箇所など。
 イエローストーンに入ってすぐの出来事であったので、ある意味自然が一杯とこちら側で勝手に盛り上がっていた気分が、かな~り人工的な造り上げられていくテーマパーク的イメージによって壊された部分もあったのだが、それはそれでしょうがないといえばしょうがない部分ではある。
 ここイエローストーンだって、人間にとって快適な道路事情や環境があるからこそ、たくさんの人を呼べるのであって、それを基にした資金や声によってこの広大な国立公園を維持することが可能になり、また野生動物たちの生活環境を保護することも可能なのだから。 
 そんなものが本当の野生とはいえないという見方もできなくは無いが、こうやってでも維持しないことにはどんどんと彼らの生活環境は侵食されていくのだということは、グリズリーベアーやバイソンの現存地域を確認するまでも無く明らかである。
 自分も博士号を取得するまでの過程においては、なんだかんだで動物愛護協会からのクレームを受けるような仕事を嫌々ではあるがこなしてきた。 目の前のステーキはおいしく食べれても、それを手を下して血まみれの死体に変える作業からは目を背け、熊や狼が子うさぎに襲い掛かるのから目をそらしていては、本当の自然は理解できないのと同じように、これらの動物達と人間との付き合いによって、幾人もの病人が救われていることも事実なのだという苦悶があった。
 もちろん自分だって動物は大好きなのだ。 というか動物抜きでは自分の人生なんて考えられないほどに、いつでも愛犬や愛鳥に囲まれて生きてきた。
 そんな自分にとって動物との付き合い方の手本を示してくれたのが、あのムツゴロウさんだった。 彼は、ペットを猫可愛がりして自分の愛玩具とするのではなく、時には厳しく時には優しくまさに体を張って対等に付き合っていく姿を教えてくれた。 
 動物が人間社会に適合するためには鬼のような厳しさで躾、必要とあらばそのまま食料として食べてしまう。 一見残酷なようだが、むしろムツゴロウさんやインディアンの生活スタイルを知れば知るほど、そのことの意味を知ることになる。 いや、人間という生き物は雑食として存在するのだから、それこそが太古からの動物との正しい付き合い方といえば付き合い方なのだから。 
 もし某TV局のゆかいな仲間たちシリーズの影響で、ムツゴロウさんがただの動物好きのニコニコしたお爺さんだと思っている人がいれば、それはとんでもない間違いである。 あくまであれはムツゴロウさんの何が起こっても平然と「いや~、面白いですねえ~」と言い放ってしまうという、底抜けに明るい面もあるんだよということではあるが、彼はまた東大を一発合格のうえ修士号まで取得した生物学者で、動物達に対する知識は膨大、麻雀もプロの資格を持ちプロの大会優勝歴まで持つ歴戦の雀士であり、その著作を読んでみればわかるようにとんでもなく豪胆な旅人でもあるのだ。
 彼は動物との付き合いを通して、何かもっと大切なものを自分に教えてくれた。 そしてこのショションの静かな森に響き渡る音も、今起こりつつある動物達と人間との距離を知らせてくれた。
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2 Comments

  1. 返信
    すずき 10/08/2006

    明日は どの辺の 青空でしょう?
    楽しみにしております。

  2. 返信
    sushi 12/08/2006

    すずきさんへ
     コメントありがとうございます。
    続きものんびり更新していこうと思っていますので、お付き合いください。

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