チチカカ湖の真ん中に浮かぶアマンタニ島には、観光施設らしいものはまったくといっていいほど存在せず、食堂や宿すらも全然見当たらない。では、ここに連れてこられた旅人たちはどうやって夜を明かすのかというと、恥ずかしがり屋で親切なアマンタニの人々のお宅にお邪魔してそこでホームステイをするのだ。
ちょっと日本の田舎を思わせるような段々畑の風景の中に、ぽつんぽつんと点在する質素な家にある一室で夜を明かすことになるのだが、この島には自家発電以外には電気も通っておらず、部屋はろうそくの灯火がゆらゆらと照らすだけとなる。
母屋の脇には簡単な台所と大事な蛋白源であるモルモットの繁殖場を兼ねた小屋が建っており、そこの釜戸で小さな火を起こして親子でせっせと我々の夕食を用意してくれた。
痩せた土地に育つ食物の数と量は少ないらしく、味気の薄い粟や稗のようなものと、毎食ごとにジャガイモを焼いたり、ゆでたりしたものが出てきた。都会暮らしで体に良いもの悪いものといろんな食材を食べ歩いてしまった我々にとっては、もちろん味のほうはお世辞にも美味しいものとは呼べないが、それでもこの島で食べると不思議と食べ物のありがたさを身にしめながらスプーンを口に運ぶことができていつの間にか満足感に満たされていた。